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光圀伝

★★★★★
史・詩歌・儒という文化人としての側面から、徳川光圀の一生を書ききった長編小説。
間違いなく現時点における冲方丁の最高傑作である。


前作(といって続編というわけではなく、作者の歴史小説第一弾という意味で)の天地明察に比べて、少なくとも二点勝っている部分がある。

まず文体の"格"である。
天地明察はややエンタメ寄りの感があったが、光圀伝には歴史小説としての文体の格調が備わっている。
ちょっと言葉にしにくい特徴なのだが、多分歴史小説を読む人間ならば分かってくれると思う。

次に光圀の心理描写。
狂おしいまでの自己実現への渇望。親の愛情に対する複雑な屈託。明暦の大火に対する激しい心情。
光圀というキャラクターを形作る内面には、作者の経歴や感情、東日本大震災被災者としての経験がありありと注がれている。
これ即ち文学である。


上記に加えてもう二点、この小説の面白所がある。


一つはミステリー要素。
物語の冒頭は、晩年の光圀が一人の男を殺すところから始まる。
彼は何者で、何故殺されねばならなかったのか? 物語の後半で明らかとなるその理由には、思わず膝を叩きたくなる。
水戸光圀の物語だからこその理由。まさにミステリー的な面白さである。

もう一つは天地明察のサイドストーリーとしての面である。
もともと光圀伝執筆のきっかけとなったのは、天地明察で光圀が改暦の支援者として登場したことによる。
当然、天地明察で描かれた渋川春海と光圀の謁見が光圀側の視点から描かれている。
登場のシーンこそ少ないが、前作を読んだ人間には楽しい、天地明察のボーナストラックともなっている。


これだけの要素が詰まって1900円と正直安い。
(というかハードカバーで1900円というのが既に安い部類。この厚みなら3000円を超えてもおかしくない。実際『ばいばい、アース』は2900円)

明暦の大火から復興とか、政治家として苦心する光圀や江戸老中たちとか、正にいま読むべき一冊。
作者贔屓を抜きにしても、これ、直木賞とる。

うーん大河にして欲しい。
いや年末時代劇とか、NHK土曜ドラマスペシャルとかでもいいからさ。
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hideとマリリンマンソンとベクシンスキーと京極夏彦と金庸と今川泰宏と冲方丁と八房龍之介と高寺成紀と牙狼とガングレイヴ(アニメ)とマクロス7を神と崇めるサイト。(多神教)

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