エグゾスカル零(2) ――いまの時代に読むべき作品――
――これ、スゴい作品だぞ。
環境に適応した甲殻哺乳類、人の形をした吸血生命――彼らを新人類と認めながらも、不屈の正義ゆえに断罪する覚悟。
甲殻哺乳類を人類と認めるも、見返りを求めない献身ゆえに自己破壊する猛。
不屈の意志。無私の献身。美徳とされている物事が『エグゾスカル零』という世界観を通すとあまりに歪んで見える。
かつて変身ヒーローとして描いた作品をこんな形で昇華せしめる山口貴由先生の手腕には心の底から脱帽した。
これほど真正面から正義の本質について問いかける作品は、マイケル・サンデルに次いで日本で二番目じゃないだろうか?
そして二巻の最後では個人の問題――正義と愛の対立――に踏み込む予兆をも感じさせる。
若先生がこれに対してどういった結論を出すのか、いまからすごく楽しみだ。
※ちなみに正義と愛の対立はFate/stay nightでも桜ルートとして描かれている。こちらでは“ただ正義を成すだけの存在”(=英霊=人を生かすために人を殺す虐殺者)を人間として歪んでいるとして、愛を肯定している。
Fate/Zeroでは切嗣を“ただ正義を成すだけの存在”と“一人の人間としての煩悶”を描いている。(正義と愛の対立に関してはややはぐらかされた感があるが、前日譚ということを鑑みれば仕方ないか)
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