君の名は。


★★★★

これ、面白かったのは面白かったけど、ストーリーはほぼほしのこえと同じだよね。
勿論ガチガチにSFで、恥ずかしいほどにリリカルなほしのこえに比べて、本作はキャラクターの可愛らしさやユーモアなんかがあって、そういうところが一般層に受けたのだろう。
つまるところほしのこえを、エンタテイメント寄りにした作品が本作であるという、ちょうど月姫とFateのような関係なのだ。

(以下ネタバレあり)




ストーリーの同一性とは具体的には、
・君と僕/少女と少年
 世界系と呼ばれるジャンル。これは他の新海作品も同様。
・時間と距離の隔絶
 ほしのこえでは地球と木星という距離と、何年もかけて届くメール。
 君の名は。では東京と岐阜という距離と、入れ替わりが同一の時間軸でない点。
・二人の関係のためだけに存在する、バックボーンに欠けたSFガジェット
 ほしのこえでは急に彼女がロボットに乗って、宇宙生物と戦って、木星から地球にメールが届いたりする。しかし世界観の説明はないし、彼女も訓練してる様子もない。そもそもロボットに乗ってるのに何故か制服だ。メールが光速で地球に届く理由も分からない。(中継基地があるの?)
 君の名は。でも彗星というガジェットが君と僕を隔てる要素となっているが、なんで欠けたとか本体がどうしたといった話は全くない。あと入れ替わり発生後もお互いの居場所について伝えていなかったり、電話で連絡するのも最後の最後だったりと、シナリオ自体の整合性は欠けていたりする。

最後の方は批判に聞こえるかもだが、そもそも新海誠という人の作品は最初からシナリオの整合性や世界観の説明というものに興味がなく、あくまで君と僕という二人の関係性だけが重要であり、入れ替わりや宇宙進出なんかは遠距離恋愛という要素のためのガジェットに過ぎないのだ。そこに理由や説明は必要ない。漫画やアニメによくある“親の都合”による引越しするようなものだ。それが新海作品ではそれがSFガジェットになっているだけである。

なぜSFガジェットを用いるのか。それは“究極”を求めた結果だろう。
ほしのこえは地球と木星という究極の遠距離恋愛である。
君の名は。もまた、時間と生死に阻まれた究極の遠距離恋愛である。
より難しく、より困難な関係。バトル漫画における最強の敵みたいなものだ。
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シン・ゴジラ


★★★★
傑作。
全ての邦画、全ての怪獣映画、全てのパニック映画の中にあっても燦然と輝く傑作だった。
映画というものはどこか現実に地続きのモチーフとテーマが必要なのだが、この作品にはそれがあった。これぞ映画なのだ。
あと日本映画で頻出する、冷める演出が見事に排されていたのも素晴らしい。(後述)
本作は日本ゴジラの復活の一作になったと思って間違いない。これに続く怪獣映画を、色んな才能ある監督に描いてほしいな。

以下に良かったところを列記。
(少しネタバレあり)






・登場人物が叫ばない
 火星の人(オデッセイ)公開時に指摘されていたことで、この作品では火星に取り残された側もそれを助けようとする側も、淡々と焦ることなくプロとして最善を尽くす演出がされている。
 対して日本のドラマはすぐ叫ぶ。説得して叫んで狼狽えて叫んでピンチになって叫んで。どっちがプロフェッショナルらしいかは言うまでもない。
 しかし本作で登場する政治家はほとんど叫ばない。自分が見た限りでは二回だけで、そのうちの一回は窘められている。(もう一回は脇役だった)
 本作が未曽有の災害に対処する、プロフェッショナルの物語なのだ。

・感動的な曲が流れない
 感動的なシーンで感動的な曲を流すのは正直かなり安っぽい。上手い作品もあるが、大半は古臭いかB級臭くなるだけだ。
 本作では演説シーンと決着シーンがそれに当たるが、どちらも音楽はなく自然音しかない。
 特に決着のシーン。大抵の邦画だとみんなウワーって万歳して、紙をまき散らして大騒ぎって感じだけど、本作ではみんながほっとして安心したような非常に地味な演出になっている。
 だがそれがいい。
 全力を尽くしたあとの人間に騒ぐ余裕などない。ただ乗り越えた安堵があるだけなのだ。

・女とイチャコラしない
 マフィア梶田を連れた石原さとみがうさんくさい英語を喋りだしたときは不安に思ったが、キスもいちゃこらもなく政治的な駆け引きに終始したので一安心。愛だの絆だの、映画に不可分でないのだ。とりわけ怪獣映画には。

・テーマがある
 ゴジラ上陸時の瓦礫流、初動の遅れ、放射能汚染、頼りない政治家、二転三転する政府報道。映画の前半は疑いようもなく東海地震をモチーフにしている。(個人の撮影やニコ動など、モキュメンタリータッチなのはこのため)
 後半はそれが東京で起こった場合、一新された若く優秀な政治家たちによって対処された場合というテーマになっている。
 面白いのは前半の政治家が極端に無能に描かれてはおらず、一所懸命に職務を遂行しているのだが、イマイチ危機意識や必死さに欠けているだけというところ。
 世代や前任者に対するヘイトではなく、傷を負った若者たちの成長が見せ場なのだ。

・すぐ怪獣が出てくる
 どのメインキャラより早くゴジラの姿の出るというのは他の怪獣映画と比べても優れた長所である。というか、怪獣映画はこのあたりを引っ張りまくるけいこうにあるからなぁ。

・ミリタリー色全開
 総火演でおなじみのヘリや戦車のバトルが熱い。
 特にスラローム射撃をする10式戦車はこの戦車じゃなければ出来ない素晴らしい映像。
 メカは壊されるところまでふくめてカッコイイ。

チラ裏話

深見真という作家が好きじゃない。
嫌いと言わないのは、思想に問題があったり文章が下手だったりはしないからである。
この世からなくなれと思うほどではないのだ。
ただ、どれほど人気で評価が高かろうとも、やはり自分は好きになれないのだ。

実のところ名前それ自体は結構前から知っていた。
いまはなき富士見ミステリー文庫でブロークンフィストという、『カンフーの達人がカンフーの絶技で不可能犯罪しました』というミステリー的に完全にアウトなネタで、珍本扱いされている作者として。
既に武侠マニアになってた俺は、この作品を気には止めていた。
読むことはなかったけれど、別に条件として提示されているならカンフーだろうが魔法だろうが、ミステリーのネタにすればいいじゃないかというスタンスだったからだ。
しかしこの後の作品はヒドかった。

カンフーハッスル。
少林サッカーで有名になったチャウ・シンチーの武侠映画である。原題は功夫で、チャウ・シンチーらしいギャグの中に骨太な武侠ストーリーと、細かい武侠小説ネタが仕込まれた名作である。
で、これの小説版を深見真が書いているのだが……これがヒドい。
あまりに間違いが多すぎる。少林寺独孤九剣など、金庸の小説を読んでいれば間違える筈のないネタが飛び出してくるのだ。
つまるところこの人は武侠小説を読んでいないのだ。カンフー小説を書いていたのも映画の影響だったのだろう。(映画マニアっぽいので)
いや別にカンフー小説を書くなら武侠小説は必読!とは言わない。
無知は罪ではない。しかしノベライズという仕事を受けながら、碌に調べもしないというのは職務の怠慢ではないのか?
これ以降、彼の名前を意識することはなくなり10年以上が経過する。

それは単なるTwitterでのやりとりだった。
虚淵玄がハイランダーが戦ったりなんなりする文を投稿していた。それは三題話のようなことをライター同士でする遊びのようだったが、その企画者が深見真だった。
カンフーハッスルの恨みは消えないまでも、彼がヤングガン・カルバナルなどアクションものの小説を書いていることは知っていたので、まあ虚淵と趣味が合ったのだろうなぁと想像された。
しかし話はそこで終わらず、彼はサイコパスでアニメ脚本家デビューし、さらには劇場版でメインライターに近い活躍をしていた。
前者に関してはともかく、後者に関してははっきり言って非常につまんなかった。
サイコパスもサイコパス2もシビュラシステムという管理社会の中で善と悪という曖昧な境界についての物語になっており、そこが最高にSFしていたわけだけれど、劇場版サイコパスはその根幹であるシビュラシステムの設定が全く生かされていない。
単なる民衆を支配するためのシステムで、敵も単純な独裁者という、筋肉系ハリウッド映画のような内容。
サイコパスもサイコパス2も面白くて、期待して観ただけに正直これはショックだった。

以降アニメ脚本家や漫画原作者などで度々名前を目にするようになる。
アニメ脚本はどれも原作ありなのでそれほど問題はないが、漫画原作については相変わらず筋肉系ハリウッド映画の主演を女体化しただけのようなストーリーが多く、単調で面白くない。
あとどの漫画にもレズキャラがいて、これに関しては非常に不快だった。
これは同性愛が不快なのではない。レズキャラが女に平然とセクハラして、サービスギャグシーンとして成立させていることが不快なのだ。

ただ業界では売れっ子のようだし、人気もあるようなので、本当に個人的な好みの差なのかもしれない。
だから俺はこう言う。
好きではないと。
プロフィール

左

Author:左
hideとマリリンマンソンとベクシンスキーと京極夏彦と金庸と今川泰宏と冲方丁と八房龍之介と高寺成紀と牙狼とガングレイヴ(アニメ)とマクロス7を神と崇めるサイト。(多神教)

bogiehouseアットmail.goo.ne.jp

< このHP(ブログ)はライアーソフト「 黄雷のガクトゥーン」のサポーターサイトです >

















































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