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■ジャンゴ 繋がれざるもの


★★★★

クエンティン・タランティーノ監督が手がける本格マカロニウエスタン。
愛する妻を取り戻すため、賞金稼ぎとなった黒人奴隷ジャンゴの物語。

基本的にはタランティーノらしいバイオレンス映画なんだけど、今作は黒人奴隷というアメリカの恥部を大胆に描いているところが面白い。
どいつもこいつもニガーニガー言うし、白人の誰もが(異邦人であるシュルツを除く)ジャンゴのことを家畜程度にしか扱わないし、しまいにゃKKKみたいなやつらまで出てくる。

けれど「まったく白人は最低だぜ」ってことかというと、これが実はそうでもない。

物語の後編に出てくる奴隷頭の執事スティーブンは、黒人でありながら登場人物の中でもっとも黒人を侮蔑する邪悪な性格をしている。
同士であるからこそ冷酷になれるというのは歴史が証明している。戦争で敵地を占領した場合、反対勢力を根こそぎするのに現地人を使うのは極めて一般的で有効な戦略だ。密告やリンチは決して権力者による圧力によってだけ生まれるものではない。
これに関して別のシーンでジャンゴが言及している。
「黒人の奴隷商人はもっとも嫌われた存在だ」
同士でありながら同士を弾圧する人間こそ、もっとも忌むべき存在なのだ。
この作品は白人の非道な歴史を暴きながらも、支配される側の愚かしさも痛烈に描いている。

ちなみに件のスティーブンを演じてるのがサミュエル・L・ジャクソンなので、例のマザッファカッと長台詞もあります。
(意味が分からない人は町山智浩さんの特電ポッドキャスト『スネークフライト』を聴くと良い)

でもまあ、それはそれは。
基本的なストーリーラインはジャンゴの復讐もので、憎たらしい奴は大体死ぬ。つーかブッ殺す。そんな痛快アクション映画。
2時間40分という長尺ながら、合間合間に銃撃があるのであまり中だるみも感じず、最後までテンションを保ったまま楽しめるのも良かった。
もちろんおなじみタランティーノ本人も出演。役柄もいつも通り。(ヒドい目に遭う)
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アメコミ読書感想

・Vフォーベンデッタ
★★★★★
ウォッチメンの衝撃再び(セカンド・インパクト)――!

いやはやスゲー面白かった!

話の筋は管理国家と化したイギリスでVという仮面のテロリストが社会と戦う話なんだけど、まあさすがはアラン・ムーア。
このVがこれまたキチガイで、セリフのことごとくが示唆的で意味が分からない。
しかも管理社会に対する反抗者というだけでなく、復讐者という面もあるんだけど、その復讐も極めて皮肉で悪辣。
しかも頭脳は悪魔的で策略は深謀ってんだから、もう完全にバケモノ。

ある意味、ロールシャッハと同じ超人なんだろうな。
(愛国者であるロールシャッハとアナーキストのVが同じというのも皮肉だ)

あまりに好きでガイ・フォークスのお面が欲しいんだけど、いま着けてもアノニマス扱いされるんが難点。


・バットマン:キリングジョーク
★★★★
すっかりアラン・ムーアが好きになって、思わず本屋に走った一冊。
ただちょっと物足りなかったかな。
いままで長編ばかり読んでたせいか、あるいは俺のバットマン知識がノーランバットマンのみだからだろうか。

本作はジョーカーがどうやって誕生したか、ジョーカーの犯罪とバットマンとの対決に差し挟まれる形で描かれている。

こうして読むと、ジョーカーなんの根拠もなく狂気を演じているわけでも犯罪を重ねているわけでもないというのが分かる。
この辺り生粋のキチガイであり、超人でもあるロールシャッハやVとは決定的に違う部分である。
ジョーカーは自分の意思で狂い、自分の狂った意思で犯罪する。
どこまでも卑小な人間である。
だからこそバットマンとジョーカーは戦うんだろう。
バットマンもまた自分の意思で正しくあろうとし、自分の鍛えた意志力で正義を行使する。
バットマンもまた、あらゆる妥協を跳ねのけられる超人ではないのだ。


・スーパーマン レッドサン
★★★★★
スーパーマンが落下したのがアメリカではなく、ロシアの集団農場だったら?
スーパーマンが守るものが自由と正義とアメリカンウェイではなく、愛と正義と共産主義だったら?
そういう発想から生まれたのがこの怪作。しかし発想の突飛さに比べて内容は至極真っ当。決して思いつきで出来た一発作品ではない。

そもそもスーパーマンは正義の男である。共産主義を信じていてもそれが変わることはない。
しかも類まれな知能と力を備えており、彼は共産主義のトップに立つや、理想的な支配者として本当に理想国家を作り出してしまう。
なにせスーパーマンがいる限り事故で死ぬ人間はいないし犯罪が見逃されることもないのだ――。

とにかくテーマが濃厚で面白い。
ウォッチメンのように『超人が実在したら社会はどう変わるのか?』を描き、
銀河英雄伝説のように『理想的支配者による独裁政権は是か非か?』を描いてる。
なんて贅沢な作品だ!

そして驚愕のラストシーン。
この作品が名作であったことを決めた一瞬だった。
もうスゲー面白いので、色物扱いせずに是非呼んで欲しい一冊。

しかし俺、実はこれが初スーパーマンなんだよなぁ。
(コミック・映画含む)
まあ初見でも楽しめるという証明ではるんだけども。


・ダークナイトリターンズ/ストライクスアゲイン
★★★
引退後のバットマンを描いた話。
硬質でハードボイルドのバットマン。あまりに激烈で独善的。
ノーラン版バットマンから入ったので、フランク・ミラーのバットマンはこう、非常に毒が強い。
ノーランのバットマンが人を守るために変身したバットマンというなら、フランク・ミラーのバットマンは悪を斃すために変身したバットマンと感じる。
なんともいえない生臭い正義感。
色々と受け入れにくい部分があった。
むしろ敵対するスーパーマンにこそ親しみを抱いてしまう。

あとフランク・ミラーの後期の絵柄ってあんま好きじゃない。
ストライクス・アゲインとかホーリー・テラーとか、あの極端に戯画化されたデザイン。
ネットメディアを物語に組み込んでいるから、あえてアバターっぽくしてるってのは分かるけど。でもワンダーウーマンのポリゴンみたいな顔とか、キャットの見開いた瞳孔とか、なんか受け付けない。


・トップ10
★★★☆
アラン・ムーア原作の、住民全員がスーパーヒーローという街での警察官を主人公とした話。

アラン・ムーアの作品はもともと情報量が多いが、これもすごい情報量。ただしオタク方面への。
なにせモブすらスーパーヒーロー(劇中の呼び名ではサイエンスヒーロー)だから、もう画面は大変なことになってて、しかもそのほとんどに元ネタがあるという始末。
日本人にはアノテーションなしにはさっぱり分からないという。(アメリカ人でもどれぐらい分かるのだろう?)
しれっとアトムや鉄人28号なんかもいたりする。アトムはともかく、鉄人は大分違うと思うんだが?(いやまあ横山作品初登場時の鉄人は自律してたんだっけか)

シナリオ的にもポリスストーリーとして十分楽しめる。
雰囲気もアラン・ムーアの多作品に比べておおむね明るい。

ただやっぱり元ネタを理解したうえでのブラックジョークなど、アメコミ知識が必須となるので、初心者のハードルは高めか。
(スーパーマンが元ネタのキャラが、実は経歴はでっちあげのうえにペドとか)

あと読んでから血界戦線やエリア51の元ネタがこれだったんだと気付いた。


・スワンプシング
★★★
スワンプシングシリーズのアラン・ムーアが担当したエピソード集。
物語は思いっきり途中から始まるが、前書きに詳細なストーリーが書かれているので筋が分からないという心配はない。
ただ、フロロニックマンという無名のヴィランを敵にしたり、スワンプシングのデザインを木と苔の植物人間にしたというアラン・ムーアの奇想は実感しにくい。このあたりはシリーズを追っていた人の特権なのだろう。
あとスワンプシングそのものはストーリー中かなり地味。むしろフロロニックマンこそ主人公じゃなかろうか。彼の憎悪と狂気と絶望はホラーである。
ただフロロニックマンのエピソードの完成度が高いだけに、後半の悪魔の話は蛇足に感じる。正直フロロニックマン編のラストのコマが美しくすぎた。
スワンプシングは完全な植物として沼の一本の葦として立っているのが相応しい。
植物人間であるフロロニックマンでは辿り着けない安らぎの中で。


・スーパーマン:ザ・ラスト・エピソード
★★★
アラン・ムーアがスーパーマンの最終話を描いた作品。
歴代敵キャラがバンバン出たり、放置されてた人間関係をクリアしたり、シリーズでやり残したことを片っ端から解決していくところはオタクなアラン・ムーアっぽい。
ただこれもある程度の知識がないと、フラグの一斉回収みたいで忙しく見える。
それと同時収録された二つの短編は、どっちもスーパーマンが死にかけるぐらいヒドい目にあう話。
マイケル・ムーア、ほんとはスーパーマン嫌いだろ?

プロフィール

左

Author:左
hideとマリリンマンソンとベクシンスキーと京極夏彦と金庸と今川泰宏と冲方丁と八房龍之介と高寺成紀と牙狼とガングレイヴ(アニメ)とマクロス7を神と崇めるサイト。(多神教)

bogiehouseアットmail.goo.ne.jp

< このHP(ブログ)はライアーソフト「 黄雷のガクトゥーン」のサポーターサイトです >

















































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