冰魄寒光 第01章 崑崙を越え絶域に行く 1

 針は迷い、舵は失い、もはや崑崙には至らず

 穴倉に住みながら、足れるとどうして言えようか

 黒ずんだ、藤の竹枝の熊手を手に

 霊山の頂上にて天への門を叩く


 それは大地に横たわる巨人のように、崑崙山脈から新疆の辺境にまで伸びており、綿々と続く峰は年中深々たる雪に覆われ、西蔵(チベット)から中国までの交通を遮ってきた。
 かつてこの道を造った多くの西蔵人達は、この一筋の道をさして艱難の道と呼んだ。
 しかしここに、崑崙山を越え西蔵の地へと足を踏み入れた、一人の旅人の姿があった。
 彼は背後を振り返り遥かな崑崙の山並を一望すると、あの穴倉を進むような厳しい旅程を思い出し、堪らず風に襟を靡かせたまま、傲然と詩句を長嘯していた。
 この旅人は二十歳ぐらいの少年で、名を桂化生と言った。武当派北支の掌門人にして『七天剣山』の一人である桂仲明の第二子である。もっとも、衣服は風塵に晒されボロボロとなっており、一見して英雄の気風は感じられなかったが。
 そのとき、他の山から笑声が轟いた。




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hideとマリリンマンソンとベクシンスキーと京極夏彦と金庸と今川泰宏と冲方丁と八房龍之介と高寺成紀と牙狼とガングレイヴ(アニメ)とマクロス7を神と崇めるサイト。(多神教)

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