声優ましまし倶楽部


あまりにヒドすぎてTwitterのような検索しやすい媒体で感想を書くのが躊躇われる作品。

作画の小林尽はスクールランブルや夏のあらし!の作者。画力もシナリオも十分で両方ともアニメ化されている。
だからまあハズレはあるまいと思って読んだのだが――あまりに面白くなくて驚いた。
いや面白くないというか、ただただ不愉快だった。

すぐに他人を見下したり足を引っ張ったり勘違いしたりする主人公の性格がクズすぎてとにかく不愉快。
主人公の周りはというと、こっちもまたネットに情報を流したり、悪い噂を流したりするクズばっかで不愉快。
誰にも感情移入出来ないし、カタルシスのかけらもない。
女子高のバカ女をバカリウムの中に入れて観察するようなもので、ただただ不愉快で爆弾が落ちて皆殺しにならないかなとすら思う。

なお俺は読むときはざっと流し読みした。一ページ一ページちゃんと読むと不愉快過ぎてゲロ吐きそうだから。

こういうゲスな作品の反対意見として「これがリアル。世の中はこういう汚い面がある」みたいなのがあるが、そういう奴らは世の中に同じぐらい綺麗な面があるということを無視している。
汚い面ばかりを描くのは、みんな幸せで終わる童話の絵本と同レベルである。

あと声優をお題にした理由について、原作者はそうすればオタクが釣れるからと答えていたけれど、それ自体は俺は批判しない。
より売れそうなお題を選ぶのは商業的にクレバーで良いとは思う。
しかし全く知らない世界を完全な想像で(しかもヒドく下等に)描くのは、メリットよりもリスクのほうが大きくて商業的な理由が成り立たない。
はっきり言って業界に対する悪口である。
しかも内容は想像なのに名前は実在の人物をもじるっってのはどうなの?というのもある。

作者はAV女優らしいけど、少なくともエンタテインメントというものが分かっていないじゃないかな。漫画やアニメが好きな人が、自分にも作れると勘違いするような。
あるいは本人の面白いと思えるものが、他人とそうとう乖離しているということかもしれないが。

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仮面ライダー響鬼


★★★★

かつて仮面ライダー響鬼(~29話)を愛した全ての人が読むべき一冊。
当時の脚本家であるきだつよしによるノベライズだけあって、本当に素晴らしい出来だった。

まず設定は江戸時代でこれは戦国時代を舞台にした映画版に近いけど、威吹鬼が殿様だったり、トランペット吹いたりギターかき鳴らしたり、普通にディスクアニマルが出てくるような、時代背景も作品設定もまるっきり無視した駄作映画とは全く異なる出来栄えになっている。

威吹鬼は吉野の頭領だし、音撃武器も笛は横笛、弦は琴とちゃんと時代に合わせている。
ディスクアニマルも清めの音で生み出す式神という設定で、物語と上手く絡めていてさすが。
(ディスクアニマルの原形が陰陽師の式神であることはTVシリーズの劇中でも言及されている)
このあたりの重厚な設定を映画で見たかったのに、馬鹿な映画版はなんの考えもなしにディスクが登場してんだよな。

さらに本作は変身忍者嵐も登場するんだけど、響鬼の原形が嵐であることを考えれば、実に“分かった”コラボと言えよう。
誤解が故に響鬼と嵐が戦うシーンもあるけどこのあたりも上手い。
ヒーロー大戦Zはこれ読んで勉強しろ!

アメコミ読書感想

・Vフォーベンデッタ
★★★★★
ウォッチメンの衝撃再び(セカンド・インパクト)――!

いやはやスゲー面白かった!

話の筋は管理国家と化したイギリスでVという仮面のテロリストが社会と戦う話なんだけど、まあさすがはアラン・ムーア。
このVがこれまたキチガイで、セリフのことごとくが示唆的で意味が分からない。
しかも管理社会に対する反抗者というだけでなく、復讐者という面もあるんだけど、その復讐も極めて皮肉で悪辣。
しかも頭脳は悪魔的で策略は深謀ってんだから、もう完全にバケモノ。

ある意味、ロールシャッハと同じ超人なんだろうな。
(愛国者であるロールシャッハとアナーキストのVが同じというのも皮肉だ)

あまりに好きでガイ・フォークスのお面が欲しいんだけど、いま着けてもアノニマス扱いされるんが難点。


・バットマン:キリングジョーク
★★★★
すっかりアラン・ムーアが好きになって、思わず本屋に走った一冊。
ただちょっと物足りなかったかな。
いままで長編ばかり読んでたせいか、あるいは俺のバットマン知識がノーランバットマンのみだからだろうか。

本作はジョーカーがどうやって誕生したか、ジョーカーの犯罪とバットマンとの対決に差し挟まれる形で描かれている。

こうして読むと、ジョーカーなんの根拠もなく狂気を演じているわけでも犯罪を重ねているわけでもないというのが分かる。
この辺り生粋のキチガイであり、超人でもあるロールシャッハやVとは決定的に違う部分である。
ジョーカーは自分の意思で狂い、自分の狂った意思で犯罪する。
どこまでも卑小な人間である。
だからこそバットマンとジョーカーは戦うんだろう。
バットマンもまた自分の意思で正しくあろうとし、自分の鍛えた意志力で正義を行使する。
バットマンもまた、あらゆる妥協を跳ねのけられる超人ではないのだ。


・スーパーマン レッドサン
★★★★★
スーパーマンが落下したのがアメリカではなく、ロシアの集団農場だったら?
スーパーマンが守るものが自由と正義とアメリカンウェイではなく、愛と正義と共産主義だったら?
そういう発想から生まれたのがこの怪作。しかし発想の突飛さに比べて内容は至極真っ当。決して思いつきで出来た一発作品ではない。

そもそもスーパーマンは正義の男である。共産主義を信じていてもそれが変わることはない。
しかも類まれな知能と力を備えており、彼は共産主義のトップに立つや、理想的な支配者として本当に理想国家を作り出してしまう。
なにせスーパーマンがいる限り事故で死ぬ人間はいないし犯罪が見逃されることもないのだ――。

とにかくテーマが濃厚で面白い。
ウォッチメンのように『超人が実在したら社会はどう変わるのか?』を描き、
銀河英雄伝説のように『理想的支配者による独裁政権は是か非か?』を描いてる。
なんて贅沢な作品だ!

そして驚愕のラストシーン。
この作品が名作であったことを決めた一瞬だった。
もうスゲー面白いので、色物扱いせずに是非呼んで欲しい一冊。

しかし俺、実はこれが初スーパーマンなんだよなぁ。
(コミック・映画含む)
まあ初見でも楽しめるという証明ではるんだけども。


・ダークナイトリターンズ/ストライクスアゲイン
★★★
引退後のバットマンを描いた話。
硬質でハードボイルドのバットマン。あまりに激烈で独善的。
ノーラン版バットマンから入ったので、フランク・ミラーのバットマンはこう、非常に毒が強い。
ノーランのバットマンが人を守るために変身したバットマンというなら、フランク・ミラーのバットマンは悪を斃すために変身したバットマンと感じる。
なんともいえない生臭い正義感。
色々と受け入れにくい部分があった。
むしろ敵対するスーパーマンにこそ親しみを抱いてしまう。

あとフランク・ミラーの後期の絵柄ってあんま好きじゃない。
ストライクス・アゲインとかホーリー・テラーとか、あの極端に戯画化されたデザイン。
ネットメディアを物語に組み込んでいるから、あえてアバターっぽくしてるってのは分かるけど。でもワンダーウーマンのポリゴンみたいな顔とか、キャットの見開いた瞳孔とか、なんか受け付けない。


・トップ10
★★★☆
アラン・ムーア原作の、住民全員がスーパーヒーローという街での警察官を主人公とした話。

アラン・ムーアの作品はもともと情報量が多いが、これもすごい情報量。ただしオタク方面への。
なにせモブすらスーパーヒーロー(劇中の呼び名ではサイエンスヒーロー)だから、もう画面は大変なことになってて、しかもそのほとんどに元ネタがあるという始末。
日本人にはアノテーションなしにはさっぱり分からないという。(アメリカ人でもどれぐらい分かるのだろう?)
しれっとアトムや鉄人28号なんかもいたりする。アトムはともかく、鉄人は大分違うと思うんだが?(いやまあ横山作品初登場時の鉄人は自律してたんだっけか)

シナリオ的にもポリスストーリーとして十分楽しめる。
雰囲気もアラン・ムーアの多作品に比べておおむね明るい。

ただやっぱり元ネタを理解したうえでのブラックジョークなど、アメコミ知識が必須となるので、初心者のハードルは高めか。
(スーパーマンが元ネタのキャラが、実は経歴はでっちあげのうえにペドとか)

あと読んでから血界戦線やエリア51の元ネタがこれだったんだと気付いた。


・スワンプシング
★★★
スワンプシングシリーズのアラン・ムーアが担当したエピソード集。
物語は思いっきり途中から始まるが、前書きに詳細なストーリーが書かれているので筋が分からないという心配はない。
ただ、フロロニックマンという無名のヴィランを敵にしたり、スワンプシングのデザインを木と苔の植物人間にしたというアラン・ムーアの奇想は実感しにくい。このあたりはシリーズを追っていた人の特権なのだろう。
あとスワンプシングそのものはストーリー中かなり地味。むしろフロロニックマンこそ主人公じゃなかろうか。彼の憎悪と狂気と絶望はホラーである。
ただフロロニックマンのエピソードの完成度が高いだけに、後半の悪魔の話は蛇足に感じる。正直フロロニックマン編のラストのコマが美しくすぎた。
スワンプシングは完全な植物として沼の一本の葦として立っているのが相応しい。
植物人間であるフロロニックマンでは辿り着けない安らぎの中で。


・スーパーマン:ザ・ラスト・エピソード
★★★
アラン・ムーアがスーパーマンの最終話を描いた作品。
歴代敵キャラがバンバン出たり、放置されてた人間関係をクリアしたり、シリーズでやり残したことを片っ端から解決していくところはオタクなアラン・ムーアっぽい。
ただこれもある程度の知識がないと、フラグの一斉回収みたいで忙しく見える。
それと同時収録された二つの短編は、どっちもスーパーマンが死にかけるぐらいヒドい目にあう話。
マイケル・ムーア、ほんとはスーパーマン嫌いだろ?

光圀伝

★★★★★
史・詩歌・儒という文化人としての側面から、徳川光圀の一生を書ききった長編小説。
間違いなく現時点における冲方丁の最高傑作である。


前作(といって続編というわけではなく、作者の歴史小説第一弾という意味で)の天地明察に比べて、少なくとも二点勝っている部分がある。

まず文体の"格"である。
天地明察はややエンタメ寄りの感があったが、光圀伝には歴史小説としての文体の格調が備わっている。
ちょっと言葉にしにくい特徴なのだが、多分歴史小説を読む人間ならば分かってくれると思う。

次に光圀の心理描写。
狂おしいまでの自己実現への渇望。親の愛情に対する複雑な屈託。明暦の大火に対する激しい心情。
光圀というキャラクターを形作る内面には、作者の経歴や感情、東日本大震災被災者としての経験がありありと注がれている。
これ即ち文学である。


上記に加えてもう二点、この小説の面白所がある。


一つはミステリー要素。
物語の冒頭は、晩年の光圀が一人の男を殺すところから始まる。
彼は何者で、何故殺されねばならなかったのか? 物語の後半で明らかとなるその理由には、思わず膝を叩きたくなる。
水戸光圀の物語だからこその理由。まさにミステリー的な面白さである。

もう一つは天地明察のサイドストーリーとしての面である。
もともと光圀伝執筆のきっかけとなったのは、天地明察で光圀が改暦の支援者として登場したことによる。
当然、天地明察で描かれた渋川春海と光圀の謁見が光圀側の視点から描かれている。
登場のシーンこそ少ないが、前作を読んだ人間には楽しい、天地明察のボーナストラックともなっている。


これだけの要素が詰まって1900円と正直安い。
(というかハードカバーで1900円というのが既に安い部類。この厚みなら3000円を超えてもおかしくない。実際『ばいばい、アース』は2900円)

明暦の大火から復興とか、政治家として苦心する光圀や江戸老中たちとか、正にいま読むべき一冊。
作者贔屓を抜きにしても、これ、直木賞とる。

うーん大河にして欲しい。
いや年末時代劇とか、NHK土曜ドラマスペシャルとかでもいいからさ。

エグゾスカル零(2) ――いまの時代に読むべき作品――


――これ、スゴい作品だぞ。

環境に適応した甲殻哺乳類、人の形をした吸血生命――彼らを新人類と認めながらも、不屈の正義ゆえに断罪する覚悟。
甲殻哺乳類を人類と認めるも、見返りを求めない献身ゆえに自己破壊する猛。

不屈の意志。無私の献身。美徳とされている物事が『エグゾスカル零』という世界観を通すとあまりに歪んで見える。
かつて変身ヒーローとして描いた作品をこんな形で昇華せしめる山口貴由先生の手腕には心の底から脱帽した。

これほど真正面から正義の本質について問いかける作品は、マイケル・サンデルに次いで日本で二番目じゃないだろうか?


そして二巻の最後では個人の問題――正義と愛の対立――に踏み込む予兆をも感じさせる。
若先生がこれに対してどういった結論を出すのか、いまからすごく楽しみだ。

※ちなみに正義と愛の対立はFate/stay nightでも桜ルートとして描かれている。こちらでは“ただ正義を成すだけの存在”(=英霊=人を生かすために人を殺す虐殺者)を人間として歪んでいるとして、愛を肯定している。
 Fate/Zeroでは切嗣を“ただ正義を成すだけの存在”と“一人の人間としての煩悶”を描いている。(正義と愛の対立に関してはややはぐらかされた感があるが、前日譚ということを鑑みれば仕方ないか)
プロフィール

左

Author:左
hideとマリリンマンソンとベクシンスキーと京極夏彦と金庸と今川泰宏と冲方丁と八房龍之介と高寺成紀と牙狼とガングレイヴ(アニメ)とマクロス7を神と崇めるサイト。(多神教)

bogiehouseアットmail.goo.ne.jp

< このHP(ブログ)はライアーソフト「 黄雷のガクトゥーン」のサポーターサイトです >

















































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