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便利な言葉

 最近は『良い意味で』って言葉がありますけど、これは言語が多様化したから生まれた言葉なんですよ。

――と言いますと?

 例えば『アホ』と『バカ』って東西によって意味が違いますよね。関西では『アホ』は比較的に良い意味で使われます。
 つまりニュアンスだけでなく、場所によっては同じ言葉ですら意味が違ってしまうのです。
 特に現代は情報化によって人と人の距離感はかなり近づいていますからね。

――近づいていますか?

 はい、近づいています。ネット上の付き合いはリアルに及ばないと思うのは大きな勘違いです。勿論、リアルよりネットの付き合いの方が大事というのも間違いです。人との付き合い、関係というものはリアルもネットも等価です。
 我々はテレビの中で会ったこともない芸能人が亡くなったときも悲しいと感じます。ネットはそれを同じに拡大します。これは我々が動物と決定的に異なる点ではないでしょうか。多くの動物は鏡の向こうの自分を別存在と認識出来ません。まして感情移入するなどということは。

(中略)

――一方で言葉の擦れ違いは増えてくると。それはリアルでですか、ネットでですか?

 両方です。先ほども言いましたとおり、リアルとネットは等価の関係です。ネットのスラングがリアルに輸入されることは珍しいことではありません。

――その原因はなんなのでしょう?

 定義ですね。特にスラングなどには言葉の定義が曖昧だったり、意味合いが複雑なものも多いですから。
 『アホ・バカ論』と同じです。褒め言葉、あるいはもっと意味を含めたはずの言葉が伝わっらなかったりします。だからこそ『いい意味で』という言葉に繋がってくるんですね。

――言葉を説明しなくてはならない。

 そうです。しかし意味を伝えている分、それは誠実といえるかもしれません。
 厄介なのは言葉の定義や意味が曖昧なまま、みんながニュアンスだけで使用している言葉です。

――例えば?

 ネットスラングに『中二病』というものがあります。中学二年生の男子が妄想する出来事、もしくはそういうった創作物のことです。
 多くの場合、幼稚、稚拙、恥ずかしいといった否定的な意味で使われます。
 しかし一方で、売れている創作物の中にはそういった要素が強いものもあり、そういった作品に用いられるときは往々にして肯定的な意味合いで使われます。つまり『いい意味で』というやつです。

――そういったことが起こる原因は、やはり定義なのでしょうか?

 その通りです。そもそも個人の体験や感性に準拠している『中二病』という概念は、一部の要素を抜き出すことは出来ても、普遍的に取り扱うことは出来ないのです。

――しかし無自覚な使用者はニュアンスだけで言葉を拡散させていく。少し怖いお話ですね。

 はい、これは本当に怖い。そもそも説明出来ないことを説明出来ない言葉で説明するのは、似非科学の手法なんですよ。
 いま『波動』や『オーラ』といった言葉を、本来的な意味で使える人間がどれほどいるでしょう。ネットで検索すると、うさんくさいものばかりがヒットしますからね。

――ネットスラングもそうなりますか?

 そもそもの目的が違いますからね。そのまま同じ問題は起こらないでしょう。しかし無自覚な被害者、あるいは加害者になる可能性はあります。言葉は常に刃をはらんでいることを、我々は忘れるべきではないのです。



  ――『言語の力 変わっていく言葉とその問題』 安部雅人 有森正

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